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真珠湾奇襲攻撃
Attack on Pearl Harbor

臨時ニュースを申し上げます、臨時ニュースを申し上げます。
大本営陸海軍部 (1941年)12月8日午前6時発表
帝国陸海軍は本8日未明、西太平洋において、アメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり。
帝国陸海軍は本8日未明、西太平洋において、アメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり。

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アメリカという国、戦争大好きなのに、「いやぁ、戦争は全然したくないんですぅ」という顔をして、その一方で相手方に自国を攻撃するよう仕向けて、「攻撃されたんだから反撃しないとしょうがないです。戦争に参加します。」というのが常套手段になっている。
時々、「攻撃された」「ものすごく攻撃されそう」というのが捏造だったりもする。
ボストン茶会事件、メーン号事件、ルシタニア号事件、真珠湾攻撃、トンキン湾事件、イラク戦争みなこのパターン。
いい加減騙されるなよ、世界の政治家。

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空母赤城搭載機の塗装を再現した零戦21型。河口湖自動車博物館(飛行舘)の展示で、極めて良い状態にレストアされている。
一体効果あるの?という翼端50cmづつの折りたたみが良く判る。

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レプリカの零戦21型(他に99艦爆と97艦攻のレプリカも登場)を贅沢に使った真珠湾攻撃のデモンストレーション。
アメリカの航空ショーでの撮影。
ショーはウォーバーズを収集保存しアメリカ全土で航空ショーに参加している団体 CAF (旧Confederate Air Force, 現Commemorative Air Force)が開催している。

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零戦のレプリカは、ノースアメリカンT-6テキサン練習機を改造して製作した。
下から見ると、タイヤのカバーを追加しているが、角ばった翼端、主翼のボルトカバー、後退角のついた翼前縁などオリジナルの面影の方が強い。

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こちらの冷戦レプリカは翌端を丸くしている。

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ラダーの分割が違うけど、尖った最後尾も苦肉の再現、随所に改造の努力が見られる。
日本映画だと「ハワイミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐」(1960)、「零戦黒雲一家」(1962)では航空自衛隊のT-6練習機をそのまま濃緑色風に塗装して使ってるので、比べると改造レプリカは本物に似ている。

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すっかりジャップになりきってるパイロット。

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編隊飛行するゼロ戦のレプリカ。

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派手な爆発。アメリカ人観客には屈辱的だが、航空ショーの最後にはB-29による原爆投下デモがありアメリカ強い!かっこいい!となる。

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ノースアメリカンT-6(AT-6)の翼から前と、ヴァルティーBT-13の胴体後部尾翼を組み合わせて製作した97艦攻のレプリカ。
BTは基本練習機、ATは高等練習機。
エンジンマウントは鋼管フレームを継ぎ足してオリジナルT-6に比べ前進させている。
魚雷はファイバーグラス製。

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ガソリンをふんだんに使ったパイロテクニックスで戦場を再現する。

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「トラトラトラ」の映画撮影後、古典軍用機(Warbirds)を飛行状態で維持展示する非営利団体のCAFに寄贈された。
これらレプリカの日本海軍機は航空ショーでの展示の他、TVや映画の撮影でも飛んでいる。

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99艦爆のレプリカは高空を水平飛行するだけなので飛行中は大きく撮影出来ない。

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写真上はヴァルティーBT-13ヴァリアント基本練習機を改造した99艦爆のレプリカ、写真下は改造元となったBT-13。

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リノのエアレースでのアトラクション。周りは砂漠地帯で用廃機が放置されている。

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アメリカ本土カリフォルニア州のハミルトン陸軍飛行場(38 3 28 N 122 30 45 W)からフィリピンに向かうフェリー飛行の途中、ハワイに立ち寄ったB-17C型とE型 11機の編隊は、大日本帝国海軍の攻撃に巻き込まれた。1機が大破したが他はかろうじて着陸できた、という実話に基くデモンストレーション。

写真のB-17 フライングフォートレス はノーズ下に回転銃座を持つG型で、米陸軍航空隊シリアル44-83872 民間レジN7227C 「テキサスレイダース」。
本機はライセンス生産していたダグラス社で最後に完成した20機ロットのB-17の中の1機で、第二次世界大戦が欧州で終結した後の1945年7月に米陸軍航空隊に引き渡し、直後に米海軍に転籍、1955年まで哨戒任務に使われた。
1967年にCAFが購入し航空ショーを中心にデモ飛行を行っており、私もアメリカ在住時に何度か見ている。
写真は2001年の撮影。
2022年11月12日にテキサス州ヒューストンで行われていた航空ショーでP-63F キングコブラ 43-11719 民間レジNX1719 が本機の後部胴体に空中衝突、P-63 一名とB-17 五名の乗員全員と貴重な機体2機が失われた。

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97艦攻のレプリカは手前低空を水平飛行、99艦爆レプリカ(写っていない)は手前高空を水平飛行、ゼロ戦レプリカは奥で円を描き地上攻撃パターンを繰り返すことにより立体的な演出をしながら衝突を防いでいる。

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真珠湾攻撃の模擬戦を終えて、凱旋編隊飛行する真珠湾攻撃隊零戦21型、99艦爆、97艦攻のレプリカ。
大半は映画「トラトラトラ」の為に改造されたものと思われる。

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アメリカのプレーンズオブフェーム博物館で保管されている99艦爆。1998年の撮影。その後、ゆっくりとレストアが進んでいる様子だが、相当の部分が新作になるので一体何時完成するのか?

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船の科学館(2020年現在仮設)での1/700ウォーターライン模型の展示。
真珠湾攻撃の機動部隊の中核となる空母六隻。
右から左に、旗艦赤城、加賀、空母、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴
これら空母の護衛・支援として
戦艦 霧島、比叡
重巡洋艦 利根、筑摩
軽巡洋艦 阿武隈
駆逐艦 谷風、浦風、浜風、磯風、不知火、霞、陽炎、霰、秋雲
潜水艦3隻
油槽船7隻
により編成された。
また、特殊潜航艇甲標的5隻とそれを運ぶ潜水艦5隻が攻撃に参加した。
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空母赤城の模型。
元々は巡洋戦艦として起工・進水したが後に空母として竣工、真珠湾攻撃時は機動部隊の旗艦であった。
記念館三笠での、"特別展 三笠秘蔵 連合艦隊 艦隊コレクション"(ネーミングが....)にて。
真珠湾攻撃の後、ミッドウェー海戦にてドーントレス急降下爆撃機の250kg爆弾が命中し火災を起こし、味方の魚雷により処分沈没(1942年6月5日)。

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空母翔鶴の模型。
TSMCが製作し靖国神社に奉納したもの。1/50スケール。遊就館にて。

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米陸軍航空隊の3つの基地(ヒッカム、ウィーラー、ベローズ)が攻撃された。
オアフ島の航空戦力の2/3以上が失われたが、第46追撃飛行隊のフィリップ ラスムッセン少尉は寝起きでパジャマのまま他の3名と共にP-36で出撃し、 カネオヘ湾上空に無線誘導され、そこで日本軍機と交戦、1機を撃墜する。しかしその後零戦2機の攻撃を受けキャノピー、無線器、油圧配管、ラダー操舵索などを破損、一旦雲に逃げ込んだ後、ウィラー基地に戻った。この時の功績によりシルバースター勲章を受ける。
写真はアメリカ空軍博物館のP-36展示機で、ラスムッセン少尉の乗機の塗装を再現したもの。
キャノピー前からエンジンカウリング上部にかけて反射防止のアンチグレア塗装が無いけど眩しくないのだろうか。

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女性のフライトインストラクターであるコーネリアスフォートは訓練生と共にジョンロジャース飛行場(現ホノルル国際空港)を離陸した。練習機はインターステート カデットで写真は同型機。日本海軍機と遭遇し、急いで空港に着陸して避難した。この模様は映画「トラトラトラ」にも描かれている(撮影に使ったのは複葉のボーイング スティアマン カデット練習機)。
コーネリアスフォートは戦時国債販売促進の為講演でこの体験を語った。後に軍用機の輸送任務に就いたが1943年3月21日、BT-13で飛行中に空中衝突事故で墜落死した。享年24歳。

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リメンバーパールハーバー!日本軍の皆様、アメリカが参戦できる口実を作ってくれてありがとう!という感謝の意味を込めて(うそです)作られたアリゾナメモリアルは観光客に大人気(本当です)。

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99艦爆の水平爆撃により沈没し、サルベージされないまま記念碑として残されている戦艦USSアリゾナ。

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同じくUSSアリゾナの沈没地点。
海面には、今も船内から流れ出ているオイルが油膜を張っている。
21 21 54 N 157 57 00 W

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上の写真と同じ場所からの撮影。PLフィルターを調整すると海面の反射が減り、水面下の船体がよりはっきり判る。
奥の船はUSSミズーリで1944年就航、硫黄島や沖縄での上陸作戦に際し艦砲射撃を実施。1945年9月2日に東京湾に停泊する本艦上で大日本帝国の降伏調印式が行われた。朝鮮戦争の後は一旦退役したが1980年代に復活し湾岸戦争に参加。1999年以降、博物館として公開されている。

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特殊潜航艇甲標的5隻が湾内の艦を攻撃しようとしたがいずれも失敗。
内1隻は座礁し、酒巻少尉は捕虜となる。
写真はオーストラリアのシドニー湾攻撃時に自爆/自決したもので基本的にハワイ攻撃に使われたものと同型。
オーストラリア戦争記念館の展示。

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おまけ。真珠湾攻撃に参加したのと同じ零戦21型だが、こちらは陸上型。自伝が名著として有名な坂井三郎中尉搭乗機。塗装の色が、空母搭載機と異なり微妙に緑がかっている。
オーストラリア戦争記念館の展示。


真珠湾攻撃については、早くも1942年に東方が「ハワイマレー沖海戦」で映画化しており、円谷英二の特撮が見られる。

「トラトラトラ」は1970年の日米合作で、宣戦布告が遅れる経緯なども含め公平かつ、かなり史実通りに映画化されている。
特殊潜航艇甲標的の侵入や、ジョージ ウェルチ少尉、ケネス テイラー少尉によるP-40出撃も描かれている。
映画用にT-6,BT-13から改造された零戦もどき、97艦攻もどき、99艦爆もどきは今もアメリカの航空ショーでデモンストレーションを見ることが出来る。
とりあえず真珠湾攻撃についてはこの1本だけ見ればいいのではないか。
史実ベースの戦争映画としては「遠すぎた橋」と並びかなり良心的な出来。


「連合艦隊司令長官 山本五十六」(1968年)は真珠湾攻撃とそこに至る経緯が含まれている。
模型による特撮(以前の映画からの流用も含まれる)を多用しており今の目で見るとチャチ(それでも結構大きなセットで撮影している様子)。
実機はT-6をそのままゼロ戦役で登場させており、しかも濃緑色塗装。

上記から40年以上経過して公開された「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実」(2011年)。
こちらは艦船、航空機殆どCGになっており、考証もしっかりしている。
俳優は他の映画のイメージが強すぎて軍人役には違和感が...

「ファイナルカウントダウン」(1980年)は「戦国自衛隊」のハリウッド版。
ストーリー云々よりも、現代の(とはいっても35年以上前)空母の運用が見られる点が高ポイント。
レプリカの零戦(トラトラトラで製作したものを流用)はともかく、日章旗を描いた妙な塗装のテキサン、変な日本語を話す大日本帝国海軍のパイロット、タイムパラドックスがどうのこうの(いやぁ、所詮フィクションですから)、タイムスリップの特撮がチープ、大西洋艦隊が真珠湾で何してんの?、さっき海から引き上げたばかりの犬がもう乾いてるよ、実戦に赴くのによく見たら訓練弾が混ざってるよ、とか、突っ込みどころ多数だけどそんなのはどうでもいい。
とにかくVF-84のF-14トムキャット! あと、A-7コルセアU(本当はV世なのだ)なんてこの映画でしか見られないはず。本当にバリケードに突っ込んでいる。
他にもバイキング、イントルーダー、プラウラー、クルセーダー、シーキングとか(今は引退した機体が殆どだけど)。
どの機体も、グレー系のロービシ塗装になる前の派手なマーキング。
トップガンだと薄暗い画面でトムキャットしかまともに見せていないけど、こちらは空母の運用がバッチリ見られる。
ラストに流れる物悲しいBGMは「聖母たちのララバイ」の元ネタ。

「パールハーバー」(2001年)....えっと、これは...見なかったことにしておこう。

最近では「永遠の0」(2013年)でも真珠湾攻撃シーンが含まれている。




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