広島、長崎原爆投下
Manhattan Project

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1945年7月17日から8月2日にかけて、ドイツベルリン近郊のポツダムで、米(トルーマン)、英(チャーチル)、ソ連(スターリン)3カ国の首脳が会議を開催。
議題は第二次世界大戦の戦後処理。期間中の7月26日に、日本の無条件降伏等を求めるポツダム宣言が米、英、中国の名で出された(ソ連は日ソ中立条約が有効なので、この時点では名前を出していない。また、中国は会議には不在)。
無条件降伏しない場合は「迅速かつ徹底的な破壊」(prompt and utter destruction)がある、と書いてあるこの宣言を、日本政府は「黙殺」することにした。
写真はポツダム会議の行われたツェツィーリエンホーフ宮殿。一番左の部屋がポツダム会議の開催された部屋。

1945年8月6日 ボーイングB-29-45-MO型スーパーフォートレス爆撃機(登録番号44-86292)「エノラゲイ」が、
広島市に午前08:15原子爆弾「リトルボーイ」投下。死者14万

1945年8月9日 ボーイングB-29A-40-MO型スーパーフォートレス爆撃機(登録番号44-27297)「ボックスカー」が、
1次目標である小倉市で原爆投下を試みるも視界不良で断念、
2次目標である長崎市に午前11:02原子爆弾「ファットボーイ」投下。死者7万

(原爆投下による死者については資料・集計方法により大きな差があります)
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今更説明の要らない、いわゆる負の世界遺産である、広島原爆ドーム。夜はライトアップされる。
広島県には原爆ドームと厳島神社の2つの世界遺産がある。
他の世界遺産と合わせて「世界に誇る」と堂々と紹介されることがあるが、「過ち」の結果として投下された原爆の遺産を「世界に誇って」いいのか?
現実として広島市の、広島県の、日本の貴重な観光資源なのは確かだけど。
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1995年6月〜1998年5月までの間、広島原爆投下機B-29「エノラゲイ」は、米国ワシントンのスミソニアン航空宇宙博物館で、レストアの終わった前部胴体、他エンジン・脚など部分的に展示されていた(他の部分は当時レストア中)。
この時、地上の惨状の写真パネル等も合わせて展示される計画があったが、退役軍人会などの猛反発に合い、館長の辞任騒ぎにまでなった。
結局、機体の一部というハードウェアの展示だけとなった。
それでも機首のENOLA GAYの文字には歴史上の重みがあふれ出ている。
ちなみにエノラ・ゲイ(発音はエノーラ ゲイに近い)は、ティベット機長の母親の名前。
この写真を撮影したスミソニアン訪問日を確認してみたら、展示終了間際の撮影だった。
展示品の前に「本機から放射能は検出されておりません(ので安心して見学下さい)」という趣旨のパネルが置いてあったのが一番印象に残っている。
現在はレストアが完全に終わり、スミソニアン航空宇宙博物館の別館に、機体全体が展示されている(こちらは訪問していないので写真が無い)。
地上で何があったか...といった展示は相変わらず無い。
これについて、日本人が何を言っても言ってもしょうがない。そもそもスミソニアン航空宇宙博物館は、航空宇宙の技術を中心に展示する博物館だ。
戦争博物館や、ましてやホロコースト博物館ではない。
戦勝国は何をやっても許される。
国力から考えて絶対勝てない相手の挑発に乗って戦争を始めてしまうような「過ち」を犯す国には、戦勝国の飛行機の展示方法に口を挟む権利は全く無いと考えた方がいい。
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原爆死傷者の慰霊碑
「安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませぬから」
誰のどんな過ち?なのか主語が抜けているのでいかようにも解釈できる曰くつきの文面。

・アメリカが核兵器を開発して、更に実戦で主に民間人相手に使ったのが過ち
・軍部の暴走を止められなかった日本国民の過ち
・戦局不利になった時点でさっさと降伏しなかった政府の過ち
・広島に新型原爆が落とされてすぐに降伏すればいいものを、もたもたしている内に長崎でも犠牲者を出してしまった過ち
・ソ連が休戦交渉してくれるだろうというお花畑な脳味噌でポツダム宣言を無視したのが過ち
・それを言うならソ連という信用できない国と日ソ中立条約というあっという間に破られそうな条約を締結したのがそもそもの過ち
・ドイツ、イタリアと組んだのが過ち。そんなはるか彼方のファシスト独裁政権とは何のつながりも共通点も無いのに。

歴史は拡大解釈がいくらでもできる。
最近は「これは人類の過ち」で落ち着かせようとしている。
でも、原爆に今も昔も全く関係ない国(ニュージーランドとか)の人も過ちなのか?
人類皆兄弟、誰かの間違いはみんなの過ち、ということ?
そもそも、全人類相手なら、最低限英語でも文面を記載しないと....
最近になって、核武装した北朝鮮とかイランとかはいいのか?
結局石碑の文面とは裏腹に、人類、結局間違い過ち繰り返しているじゃないか、原爆実戦で使ってないだけで。
と突っ込みどころ満載。

でも、私はこの文面に同調する。
「国力から考えて絶対勝てない相手の挑発に乗って戦争を始めてしまう過ち」である。

勝てない戦争はやってはいけない。
逆に、勝てば何でも許される、のである。だからアメリカは原爆投下を絶対に謝罪しない。
歴史から学ぶということはそういうこと、だ。

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原爆により消失してしまった広島城。それまでは貴重なオリジナルの天守閣が残っていた。
現在の天守閣は再建されたもの。
ヨーロッパでは戦災で破壊された建物を、元の設計通りに再建するということは当たり前のように行われているが、広島原爆で被災した建物を元通りに作り直したのは私の知る限りここだけ。
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広島城敷地内にあった大本営の跡地。原爆により建物は倒壊し、基礎だけが残る。
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原爆投下前の広島市の様子。広島平和記念資料館の展示。
左下の緑色の屋根の建物が「広島県物産陳列館」で、1915年竣工。設計はチェコ人。

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原爆投下後の広島市内の様子。コンクリート造り以外の建物は消失している。広島平和記念資料館の展示。

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より広範囲(爆心地から半径2.75km)のエリアを模型化したもの。画面奥が海側((広島湾側)。
いくつもある川は合流しているのではなく、多数分岐している。
原爆は上空600m付近で爆発。赤い玉は爆発後1秒の火球のイメージ
広島平和記念資料館の展示。

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リトルボーイのレプリカ。本物は全長3m、本体直径71cm。
広島平和記念資料館の展示。
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広島平和記念資料館の展示。 熱で溶けたガラス瓶など。

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アメリカ空軍博物館に展示されている、長崎への原爆投下機、B-29「ボックスカー」。

名前のBOCKSCARは、Bock'S CARの省略形。
Bockは機長ボック大尉。Bock's car (ボックの車)と、Box Car (絵にある通り有蓋貨車)を引っ掛けている。
この機首のマーキングは、退役時のものであり、長崎原爆投下時にはマーキングは無かった(77の数字のみ)
Salt Lake とは、原爆投下任務の為に第509混成部隊がユタ州のウェンドーバー基地で編成されたことに由来すると思われ、ここの最寄の大都市がソルトレイクシティーだった(最寄とは言っても100マイル160km離れている)。

エノラゲイの、スミソニアンでの暫定展示及び別館での恒久展示に際し、日本のメディアが騒いでいた(雑誌航空ファンなどはエノラゲイ展示にネガティブな識者見解しか掲載していなかった)その一方で、ボックスカーの方はずっと昔から、ひっそりと、かつ堂々と、日本での議論も殆ど耳にしないままずっと展示されてきた。地上の様子の展示など全く無いのはエノラゲイと同じこと。

何でボックスカーの展示には異議の声や議論論争が無いのか?
長崎原爆と広島原爆とで意味合いが違うのか?どちらも原爆投下ではないか。広島は最初の原爆投下だから?でもそれを言ったら長崎は(今の所)最後の原爆投下だ。あるいは犠牲者数の問題?数の問題なのか?死者が少ない長崎の方が軽い扱いなのか?爆弾自体は長崎の方が強力なのに。
最近レストアの終わったエノラゲイに比べ、ボックスカーは昔から展示されていたという既成事実により議論してもしょうがないからか?理解に苦しむ。

もっとも、エノラゲイの方がインパクトが強いのは世界標準の様で、例えばGoogle検索で"ENOLA GAY"は42万件ヒット、"BOCKSCAR"は16万件("Bock's car"とあわせても18万件)と明確な差がある。
ニール・アームストロングは誰でも知っているが、最後に月面を歩いたジーン・サーナンなんて普通名前が出てこない。それと同じこと、なんだろうか?

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ボックスカーの横に展示されている、長崎投下原子爆弾MarkVファットマンから発展したMark Y型核爆弾。
寸法は概ね同じだがフィンの箱型フレーム有無など異なる。生産数1100発...って、何考えてるんだか。

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長崎にある、浦上天主堂前の聖人像。
教会は1925完成、原子爆弾により破壊後は、1959年に再建されたのだが、原爆で破損した聖人像は当時のまま。


広島、長崎への原爆投下を直接描いた長編映画というのは、そういえば見た覚えが無い。
映画「ジョーズ」に登場する漁師は、原爆の部品をテニアン島に運んだ帰りに日本軍の潜水艦に沈められた重巡洋艦インディアナポリスの生き残り、という設定が印象に残った。
実はインディアナ州インディアナポリスに同艦の記念碑があるので、2015年1月の出張ついでに見に行こうと思ったが、さすがに真冬の気温-20度にビビッて断念。
リドリースコットが監督した「ブラックレイン」の中で、やくざの親分が、アメリカは、タイトルにもなった黒い雨を降らせた後に自分たちの価値観を押し付けてきた(ので若いやくざの仁義が無くなった)、と話すくだりがあり。
でもアメリカの価値観と黒い雨、正直関係は薄いと思うのだが。
男たちの大和では、原爆投下でヒロインが戦死。この映画、話の内容云々ではなく、映画としての出来が酷すぎる。戦争映画にも反戦映画にもなっていない中途半端さ。軍歌メドレーで歌うなよ。
ローレライでは広島、長崎に続く原爆投下を潜水艦(フランス製巡洋潜水艦 スルクフ!)が防ぎに行くという話。
CGがやけに安っぽいとか、艦内がやけに陽気とか、それ高射砲じゃないから、とか突っ込みどころ沢山で、巷の評価もスゴく悪いけど、じゃあダメなのか、というと私は結構楽しめた。これ戦争映画として見てはいけない。これ、SFアニメの仲間ですから。キャストも超豪華だし。

フランスにある戦争博物館で、原爆に関する展示をイギリス人母娘が見学して、「これはダメな行為。民間人殺しちゃいけないのよ」と娘に言っていた。
戦勝国が一律「上陸戦をしなくてよいので犠牲者が減った」という解釈ではないのには安心したような、でもそんな単純なものじゃないと思うけど...




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