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タイ海軍
(現代のタイ海軍、ウタパオ航空ショーなど)
Royal Thai Navy

多分世界で一番お茶目な軍隊、タイ海軍。
その歴史は色んな意味でアメージングなタイランドの歴史そのもの。
(第一部からの続き)


【記念館】

タイ海軍を除籍になった艦船のいくつかは、陸上に展示されている。
先に日本製のHTMSメークロン、イタリア製の魚雷艇HTMSチョンブリーを紹介しているが、以下、第二次世界大戦後に導入した米国艦2隻を紹介。

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タイ海軍が使用していた、戦車揚陸艦 HTMS ランタ

元々、米海軍のLST(2) LST-542級戦車揚陸艦のLST-1141 USS ストーンカウンティとして1945年4月18日に進水、同年5月9日配備。太平洋戦争の実戦には参加していない。
1949年に予備となったが、翌年再配備され朝鮮戦争に参戦、続いてベトナム戦争にも参戦した。
1970年、タイ海軍にLST-4としてリース、そのまま1973年に米海軍籍を抜けタイ海軍LST-714となる。
年月不明だが2000年以降のどこかでタイ海軍から除籍され、2012年頃からクラビのフェリー乗り場横に展示されている。
8 02 49 N 98 54 27 E

LST(2)は1600〜1900トンの積荷を搭載することができ、シャーマン戦車なら20輌を運ぶことができた。
米海軍向けに933籍が建造され、タイ海軍では5籍を運用した。いずれもタイのリゾート島の名前が付けられている。
711 アントン (旧米海軍LST-924)
712 チャーン (旧米海軍LST-898)
713 パンガン (旧米海軍LST-1134)
714 ランタ (旧米海軍LST-1141)
715 プラトン (旧米海軍LST-722)
パンガンはパンガン島のフェリー乗り場横に展示されている 9 42 45 N 99 59 02 E。
チャーンはチャーン島沖にダイバーの観光漁礁として2012年に自沈 11 53 42 N 102 15 27 E
プラトンもプラトン島沖にダイバーの観光漁礁として2016年に自沈。真直ぐに沈めるはずなのが傾いて横倒しに沈んでしまった。マイペンライ(←なのかよ...)

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HTMS プラサエ。
プラサエ川がタイ湾に流れ込む河口沿いに展示されている。
12 41 49 N 101 42 17 E
元々は米海軍のPF-47 USS ギャラップで、タコマ級フリゲート艦として第二次世界大戦中に米国で96隻建造された内の一隻。
1944年2月に就役すると太平洋戦争に投入され、対潜・護衛・哨戒・上陸作戦支援任務に就いた。
1945年1月にアラスカに到着、プロジェクトフラ(ソ連の対日参戦を前提に米軍艦艇をレンドリースでソ連に渡す)の一環として本艦はソ連に無償貸与されることとなり、8月よりアラスカのコールドベイを拠点に、ソ連乗組員を乗艦させての訓練が開始された。
実際に本艦がEK-22としてソ連に引き渡されたのは第二次世界大戦終戦後の1945年8月末となった。
返還交渉の結果、1949年11月ソ連より返却された。
横須賀にて予備として繋留後、1950年10月に再び米海軍 USS ギャラップとして就航、横須賀及び佐世保をベースに朝鮮戦争に参戦する。
1951年10月にタイ海軍に移籍されHTMS プラサエとなり長らく使用された後、2000年6月除籍、2003年12月より現在の場所に展示されている。

タイ海軍ではもう一隻、HTMS ターチン(艦艇番号411)の名でタコマ級フリゲート艦を運用していた。
こちらは元々PF-36 USS グレンデールとして太平洋戦争参、EK-6としてソ連で運用後、米海軍籍USS グレンデールに戻り朝鮮戦争参戦、USSギャラップと共にタイ海軍に移籍されHTMS ターチンとなった。
HTMS ターチンはHTMS プラサエと同時期にタイ海軍除籍となっているが、HTMS プラサエが海沿いに展示されているのに対し、HTMS ターチンの方は何と分解されてトラックで100km程内陸のナコーンナヨック県に運ばれ、タイ王国士官学校予科の敷地で再組立されて展示されている。
14 18 03 N 101 07 57 E
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HTMS プラサエの船尾部分。 艦尾には艦名プラサエのタイ語表記。
甲板から爆雷を投下できるようラックが2列備えられている。

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ゆったりとしたデッキ。
タコマ級は、英海軍のリバークラスを元に米海軍向けに改良して大量生産したもの。
ブロック建造方式を採用し、リベットを使わず全て溶接構造で作られている。
商船を建造している民間造船会社に大量発注された。
防御力の弱さ、旋回半径の大きさ、艦内底部の居住性(熱帯で使うと暑い)などの欠点があった。
ほとんどの艦は米海軍籍ながら沿岸警備隊のクルーによって運用された。

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レーダーは戦後の追加装備でAN-SPS6系対空レーダー。
タイ海軍が受領した後に取り付けたものの様子。

ブリッジおよびその下部はオリジナルから形状が大きく変わっており、ブリッジは屋根付となった。

ブリッジ正面に取り付けられている赤色の立体紋章は「ガルーダ」。
ヒンズーの神鳥だが仏教国タイの国章になっている。タイのお札とか官公庁の文書とか、銀行やお役所の入口上とかあちこちで見られる。
しかしこの軍艦のガルーダ、触って見たのだが赤色のプラスチックを恐らく型に流し込んで、上から黄色や白で細部を着色した(しかも経年変化で変色や剥がれが発生)というかなりチープなもの。
海軍博物館での展示品や、HTMSメークロン、HTMSチュンポーンといった記念館の舳先についている木製のものと比べ随分とコストダウンというか、威厳低下というか、手抜きになったものだ。

手前の砲はボフォースの75/51砲。

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ブリッジのパノラマ。クリックで拡大。
残念ながらかなり荒らされている。
コンパスはドイツ製のものが取り付けられているので当然オリジナルではない。

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マストを見上げる。

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後方のボフォースの75mm/51砲。
本艦ではブリッジよりも前に2門、後方に1門配置されている。
これは現役時代に米国製3インチ/50砲Mk.22を搭載していたが、タイ海軍退役時に外され予備として保管、代わりにより古いボフォース75mm砲に載せ変えたものらしい。

この他、ボフォースの2連装40mm対空砲を左右舷に各組配置していたが、展示艦では外されてマウントだけが残る。

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艦内随所に見られるラック。多分ヘルメットを入れておくものだろう。試しに私の帽子(米海兵隊HMLA-267のパッチ付。 多分カリフォルニアの航空ショーで購入)を入れてみる。

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船尾近く、20mmエリコン機銃3門を固めて配備している場所。画面左は艦尾から投下する爆雷のラック。この他爆雷投擲装置もオリジナルでは装備していたはずだが展示艦には見当たらず。

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エリコン20mm機関砲は9門が配置されていた。
これらはオリジナルが残っている。

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スクラップ展示場に野ざらしで放置?展示?スクラップ待ち?の警備艇。
米国の小型艇造船会社、スウィストシップスがタイ海軍向けに作ったもので、排水量23t、全長50フィート。
1968年から76年にかけて、T21〜T29の9隻が納入された。
このスクラップ場にはT27とT29の2隻が置かれている。
写真はT27。
左隣に横たわるのはタイスカイエア航空のL1011トライスター HS-AXA (元デルタ航空 N722DA)の胴体下半分。
敷地には他に分解されたプーケット航空のYS-11 HS-KVA (元ANA JA8761)などもある。
13 50 48 N 100 01 10 E

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同じ敷地のT29の方は艦内が見学出来る。

【現在のタイ海軍】
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広大なサタヒープ海軍基地を、バンコク(スワナブーム)発、ジャカルタ行きの飛行機から眺める。
軍事基地であるが、実は結構な部分は検問なしに、あるいは検問を堂々と通過して中に入れる。
かなり綺麗なビーチも敷地内にある。

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これが(一部で)有名な世界最小の「空母」HTMSチャクリ ナルエベト CVH911。
スペインで建造され、垂直離着陸固定翼機マタドールを搭載して攻撃力として運用するはずが、マタドールの退役により現在はヘリ空母としてのみ運用。
しかも予算不足で災害救助以外は殆ど活動せず、通常はサタヒープの軍港に繋留し、ほぼ毎日一般民間人の見学のために開放している。
女子供にも大人気。まあ無料テーマパークみたいなもの。
いいのか、高い買い物をそんな使い方で、タイ海軍?
12 37 33 N 100 54 49 E

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インターネットの情報では「外国人は空母の艦内甲板に入れない」「誰でも入れる」の両方の情報が錯綜しているが、私が訪問した時は問題なく入れた。
他にも英語で会話している中国系の女3人組(シンガポールあたりか?)もいたので外国人云々は問題ない。
(しかし女性3人で空母に乗って面白いのか...空母やミリタリーと関係ない世間話ばかりしていたし)
ただ、ファラン(欧米人。いわゆるガイジン)は艦内に居なかったので容姿でふるいわけているのか?
とにかく無事艦内と甲板見学。

日米の空母や強襲揚陸艦は何度も見学しているが、スキージャンプ台付甲板を歩ける日が来るとは思わなかった。

固定翼機はハリヤー(マタドール)の運行のみ想定している為、カタパルトが無い。
ハリヤー(マタドール)無き今、甲板の傾斜部は全く意味がないだろう。

チャクリ ナルエベトは基本的には小型のヘリ空母と言ってよく、基準排水量10,000トン。
ちなみに海上自衛隊のおおすみ型は基準排水量8,900トン、ひゅが型13,950トン、いずも型19,500トン。

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タイ海軍のお茶目さは21世紀にも健在。
空母チャクリ ナルエベトの前方エレベータ口から見下ろした格納庫の壁には「Never Mind is the way to die」という難解な英語のスローガンが。
死ぬ時はなにも気にしない?何も気にせず死に行け?撃墜されてもしょうがない?マイペンライな死に方?

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タイの人は模型の縮尺に無頓着なのだ....という事は、例えばパタヤにあるテーマパーク「ミニサイアム」の、世界の名所模型を見ると良く判る。
(ちなみに同テーマパークも、奥のほうにあるタイの建物は1/25に統一している。)
この模型も空母チャクリ エルナベトの船体と、艦載機の縮尺が合っていない。
空母が1/100程度、艦載機は1/144位と思われる(ヘリ全長はロータ含まず)。
飛行機は市販のプラモを使って手を抜いたのだろうか。
とにかく飛行機が空母に比べて小さい。
それとも世界最小の空母を少しでも大きく見せる為に確信犯で飛行機を小さくした!?
タイ海軍博物館にて。いいのか、軍の博物館の展示がこんなもので?

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ということで、航空機を正しい大きさに写真修正してあげた。逆パネマジ(←ちょっと用法が違う)。

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バンコク(スワナブーム)発、シンガポール行きの飛行機より。一番上に空母チャクリ ナルエベトが停泊繋留しているのが見える。

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空母HTMSチャクリ ナルエベトで運用する為に導入したホーカーシドレー AV-8Sマタドール3105号。
イギリス製の機体だが、政治的な問題で一旦アメリカを経由して(型式もアメリカ式のAV-8Sで、各機に米海軍・海兵隊式のBu.Noが割り当てられた))1975年からスペインに輸出したもの。
その後空母チャクリ エルナベトの配備(1997年)に先立ち、AV-8S、TAV-8Sが1996年にスペインからタイに売却された。
2006年には単座、複座共に退役している。
12 40 32 N 100 59 51 E

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同じくホーカーシドレー AV-8Sマタドール。
3107号は王立タイ海兵隊博物館に展示されている。

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こちらは最近になってウタパオから空軍博物館に移されて展示されているAV-8S (3109号)。 2017年9月撮影。
塗装の汚れとパッチは凄みがあるが、タイヤはパンク、パネルは歪みなど比較的新しい展示機の割りに状態は決して良くない。
恐らくこの後ペンキを塗り直されてしまうので、今の状態はある意味貴重。

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久しぶりに空軍博物館に行ってみたら、やはり塗り直されていた(2019年2月撮影)。ちょっと悲しい。
下の写真のコルセアも塗り直されていた。コルセアは多少汚れていても塗り直す程ではなかったのに...
更に今まではお触り、下に潜る、後ろに回るなどやり放題だった機体の多くは近づけなくなってしまった。
展示機自体は増えているのでうれしいのだが。

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同じく空軍博物館に最近展示されている、タイ海軍で用廃になったA-7Eコルセア。
Bu.No. 160563は元VA-86 Sidewindersの所属機。

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タイ製のNormed PS 700級戦車揚陸艦、 HTMS シーチャン (LST721)。
同型艦にHTMS スリン (LST722)がある。
双方とも島の名前。

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シンガポール製のエンデュアランス級ドック型揚陸艦 HTMS アントン (LPD791)。
シンガポール海軍では2000年に本クラスを4隻就役させており、タイ海軍は新造の同型艦を2012年に1隻配備した、それが本艦となる。

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左は中国製の江滬型ミサイルフリゲート艦 HTMSサイブリ FFG458。
タイ海軍の姉妹艦にはHTMS チャオプラヤ(FFG455)、HTMS バンパコン(FFG456)、HTMS クラブリ (FFG457)があり、いずれも川の名前が付けられている。
右はタイの造船会社、MarsunのM36型警備艇で2014年に配備された。艦艇番号が見えないがT111,T112,T113のいずれか。

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米国がタイ海軍向けとして1970年代前半に新造したタピ級コルベット2隻。
手前はHTMS キリラート(FF432)で奥はHTMS タピ(FF431)。本級はこの2隻のみ。

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リゾートのホアヒンビーチから見たタイ海軍の軍艦。この場所、最寄の海軍基地から結構距離があるのだが、いつも軍艦が数隻停泊している。
右は中国製の江滬型ミサイルフリゲート艦 HTMS バンパコン(FFG456)
左はタイ警察の警備艇。
12 34 07 N 99 57 48 E

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サタヒープの軍港に停泊中のフリゲート艦。
向かって左はHTMS Phutthaloetla Naphalai (FFG462)、右がHTMS Phutthayotfa Chulalok (FFG461)
元アメリカ海軍のノックス級を中古で購入。2隻は姉妹艦なのだが細かく見ていくと相違がある。
FFG462は写真を撮影した時より1年前の2015年4月に退役しており、ブリッジ下のガルーダの紋章が取り外されている。その他装備や油脂類も少しづつ外しているのか、FFG461よりも喫水線が下がっている(船体が浮かび上がっている)のがマストの位置を比べると判る。

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サタヒープに停泊中の、中国製福池(フーチー)型補給艦HTMSシミラン (AOR871)

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艦艇の近代化に合わせて韓国に発注し、2019年に就役したフリゲート艦 HTMS プミポン・アドゥンヤデート (FFG471)。
2022年の国際観艦式に参加した際に海上自衛隊横須賀基地にて一般公開された。

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艦尾にはタイ海軍機が翻る。

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飛行甲板。ヘリはSH-70BシーホークまたはMH-60Sナイトホークを搭載するが入港時は空っぽ。

ちなみに後ろで接岸しているのはカナダ海軍のハリファックス級フリゲート艦HMCSウィニペグ FFH 338(向かって左)とHMCSバンクーバー FFH331。
こちらの両艦は艦載ヘリであるカナダ空軍所属のシコルスキー CH-148 サイクロンを各1機搭載した状態で入港し、ウィニペッグ側は一般公開していた。偉い!

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Mk. 32 短魚雷発射管。魚雷はMk.54を装備しているらしい。

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対艦ミサイルのハープーンは4発づつ両舷に装備。

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デンマークTerma社のデコイ発射筒 DL-12T。12本づづ両舷に装備。
救命具入れにはタイ文字で「5」

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就役3年目なのでまだ新しくて奇麗。

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遠隔操作及び手動で撃てる30mm チェーンガンを搭載した DS30M Mark 2 システム。砲はアメリカのノースロップグラマン製、台座とシステムはイギリスのMSI Defence Systems製で元々は英海軍用に開発したもの。
同様の装備は海上保安庁の艦艇も採用している。
写真は右舷のものでタイ文字の「1」が書かれている。左舷は「2」。

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事実上艦隊防空の世界標準となっているファランクス CIWS。M61A1 6銃身20oバルカン砲搭載。

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HTMS プミポン・アドゥンヤデートの飛行甲板甲板片隅で店開き。何か闇市みたい…
帽子などおなじみグッズの他、酒たばこ、ジュース、栄養ドリンク(←これだけ買った)、乾麺、塩漬け卵(!)等を販売して外貨稼ぎ(小遣い稼ぎ?)。
館内の航海用の在庫から売れそうなものをとりあえず並べてみました、の図。
相変わらずタイ海軍のお茶目さは全開。これだよ、これ!

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タイ海軍博物館に展示されている、ラタナコーシン級コルベット HTMS スコータイ (FS442) の模型。
HTMS スコータイは米国に発注、1987年にタイ海軍に就役。
艦艇番号は当初2だったがその後442となる。
2022年12月18日2045頃、タイ王国プラチュアップキリカン県バンサパン沖で強風と3〜4メートルの高波により浸水、左舷に傾きエンジンが停止し、同時に排水ポンプが使えなくなった。ヘリが排水ポンプを届けようとしたが傾きが激しくなり上手くいかず、浸水から約3時間後に沈没した。
救助捜索活動が行われたが、2023年1月18日の時点で乗組員105名の内、救助76名、死者24名、行方不明5名となっている。
同艦は「タイ海軍の父」クロムルアンチムポーンケートウドムサック提督の追悼式典に向かう途中だったという。
この式典の為通常よりも将校30名が多く乗り込んでおり、艦載のライフジャケットが足りない状態だったという。
「マイペンライ」とか言ってそのまま乗艦させている光景が目に浮かぶ(←推測です...)。

姉妹館に HTMS ラタナコーシン (FS441) がある。こちらは現役。

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映画「地獄の黙示録」やタミヤのプラモでお馴染み、PBR。
写真はタイ海軍博物館の展示品で武装や計器、無線機、ウォータージェットエンジンなど一切の装備が取り外されている。
池の中に展示されているのではなく単に大雨で潅水しているだけ。
PBRはL11〜L19及びL110〜L145の計45隻を導入し、現在も数隻が現役という。
タイで撮影された「ランボー最後の戦場」(2008年)で、ミャンマーの海賊(川賊?)が使っていた。

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こちらはチャオプラヤ川河口近くに繋留されているPBRで、L145号。
海軍の敷地内に位置し、海軍旗を翻し、良好な外観だが果たして現役なのか?
横の水上掘っ立て小屋は何なのか?
など疑問は尽きない。
13 32 32 N 100 34 25 E


【タイ海兵隊と、海軍特殊部隊】
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タイ海兵隊記念碑。
6面に渡り、海兵隊の雄姿と、軍歌(?)の楽譜が描かれている。
12 39 51 N 100 51 44 E

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海兵隊記念碑をビシッと守る兵士の銅像と、お気楽な番犬たち。
ここはサタヒープの海軍基地敷地内で、たどり着くには複数の検問を通る必要がある。
ただし少なくともタイ人の民間人は入れる。外国人だけで入れるのかは不明。
そこに堂々と野良犬がいるというのが何ともスゴい。
一瞬、放し飼いのK9かと思った。

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タイ海兵隊博物館で展示されている三菱のジープ。
日本に駐留する米陸軍の輸送部門が検査を実施した時に貼付した思われる銘板によると、
型式CJ3B-J4C
1960年2月製で、製造番号9-J4C-100711。
左ハンドルであること、型式がJ4Cであることなどから、三菱が(自衛隊ではなく)始めから米軍が使うという前提で生産したものだろうか。
ボンネット側面にjeepの文字は無い。写真には写っていないが、グリル上部にタイ海兵隊のナンバーが配置されているため三菱マークの有無は確認できず、また、ヘッドライトのガードあり。
左前輪フェンダー上のものは灯火管制下で使うヘッドライト。
カンチャナブリのベトナム戦争記念碑に展示されていたものと同じ型だろうか。
どのような経緯でタイが手に入れたものなのだろうか。米軍がタイに譲渡したのか、南ベトナム軍が使用していたものがタイに渡ったのか。

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タイ海兵隊博物館にはもう一台ジープが展示されている。
こちらは三菱マークが明瞭で、車内の銘板には
MANUFACTURED IN JAPAN BY MITSUBISHI MOTORS CORPORATION
UNDER LICENSE FROM KAISER JEEP CORPORATION U.S.A.
と記載されているが、それ以外の車種を特定できる情報は見当たらなかった。
右ハンドル、ウィンカー形状、一枚の窓、ワイパー位置、ミラー位置など、もう一台とはかなり細部が異なる。
写真では光の関係で判らないが、ボンネット側面にはJeepの文字がプレスされている。
解説板によると三菱M606という型式になっている。M606は基本的にCJ3Bの民間型相当だが三菱ではこの呼称は使っていないはず。

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タイ海兵隊博物館に展示されている6x6トラック。
解説板によればトヨタ DW152。
同じ車種と思しきものがカンチャナブリのベトナム戦争記念碑にも展示されており、こちらにはOSP-J 2 1/2トラックの解説がついていた。
左ハンドル車なのでトヨタが生産し米軍に納入したものが中古でタイ海兵隊に渡ったのだろうか。
トヨタ DW15L型2.5トン6輪駆動トラックに該当すると思うのだが。
これの右ハンドル版が、映画「七人のマッハ!!!!!!!」(2004年)のラスト近くでタイ正規軍の車両として2輌登場する。

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おまけ。バンコク中心部にあった(2018年4月21日に閉鎖)期間限定恐竜テーマパーク「Dinosaur Planet」の入口前に展示されていた4x4の車両。
13 43 57 N 100 33 59 E
燃料注入口のキャップ及び、後輪デフのカバーにはトヨタの旧ロゴ(1939〜1989年)がある。
すき間からエンジンを覗く限りでは直列6気筒ガソリンエンジン。左ハンドル仕様。
米軍向けにトヨタが生産した車両が中古でタイの軍隊に渡ったものであろうか。
多分トヨタのFQ15L型3/4トン4輪駆動トラックだろう。
同型車輌はB級映画にも時々出演している模様で、例えば「戦場にかける橋2/クワイ河からの生還」(1989年)に日本軍の車輌役で登場していたりする。

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こちらもおまけ。
バンコク国際空港(スワナブーム空港)近くの、値段が微妙なレストラン、コーランタの入口前にもトヨタ FQ15系の車両が展示されている。
この車両は右ハンドルなので米軍放出以外のルートでタイに入ってきたのだろう。
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更におまけ。サラブリーからコラート、ウドンターニといったイサーン地方を通りラオスに通じる国道2号線沿いにある謎のスクラップ屋。左の2輌が左ハンドル仕様のトヨタ DW15L型2.5トン6輪駆動トラックと思われる。
14 37 44 N 101 10 25 E
飛行機の胴体はダグラス C-47B-10-DK (43-49210)のもの。
本機は米陸軍航空隊、米空軍で使われその間VC-47B(後にVC-47D)に改造され、後に南ベトナム空軍に供与、1975年に王立タイ空軍のものとなる。
1992年バンコク近郊のドンムアン飛行場で着陸時に破損し用廃となり、チョンブリのスクラップ屋を経てここに来たが、2018年現在はスワンナプーム国際空港近くのナイトマーケット「ランウェイ3119」 13 44 23 N 100 44 55 E にエンジン、プロペラ付で展示されている。
その後ろは2006年に業務を停止したタイスカイエア航空の胴体(ロッキード トライスターか?)
セスナ A-37 トゥウィート(今流に言えばツイート)も見える。

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折角なのでもっと紹介。
ナイトマーケットのオブジェとなっているトヨタ DW15L型2.5トン6輪駆動トラック左ハンドル仕様。
13 50 00 N 100 01 34 E

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こちらは近郊にあるスクラップ展示場横のナイトクラブ(?)、「ハンガーボール」に展示してある比較的程度の良いトヨタFQ15L型3/4トン4輪駆動トラックの左ハンドルバージョン。
13 50 48 N 100 01 10 E

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こちらは近郊にあるスクラップ展示場で朽ち果てようとしているトヨタFQ15L型3/4トン4輪駆動トラック、左ハンドル。
13 50 54 N 100 01 11 E

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すぐ近くにもう一台、トヨタ DW15L型2.5トン6輪駆動トラック左ハンドル。こちらもボロボロ。

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タイ海兵隊博物館の展示に戻ってこれはM274トラック。
ジープでお馴染み、ウィリス社の設計。米軍では1950年代から1980年まで使用。

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タイ海兵隊博物館の展示品、LVT-4。左端はアームストロングの大砲。

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ゲートガードとして展示してあるAAV。
12 39 47 N 100 58 11 E
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ウタパオ近辺ですれ違った、タイ海兵隊が所有しているウクライナ製の8輪駆動水陸両用装甲輸送車、BTR-3型。
土曜日の夕方、公道を爆走していた。
ロシア戦車兵式のヘルメットが面白い。暑くないのか、それ。

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海洋島自然歴史博物館の丘を登った頂上で、海軍特殊部隊の服装装備に関する展示をしている。

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海軍特殊部隊SEALは1956年設立、王立タイ海軍の組織として米海軍のSEALと定期的に協同訓練もしている。
写真は海軍特殊部隊の土産物店。軍の敷地内にある。
どこにでもある民間向けの迷彩パターンのグッズとか、中途半端なスポーツ用品とか、あとは海軍関連の安っぽいグッズを販売していて特に買うものは無かった。アイスとか飲料とかも売っている。
隣はSEALのカフェ。店員は普通の民間人。
12 36 11 N 100 57 00 E


【シュールなタイ海軍博物館】
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タイの随所でみかける顔出しパネル。ありとあらゆる種類のものがある。
観光地だと有料のものもあるので要注意。
さすがにタイ海軍博物館のものは無料。左右両端は等身大の水兵さん。
その内側は2頭身バージョン。兵隊が2頭身になって大丈夫なのか!?とおもうが、日本ののらくろも似た様なもの...
しかし、真ん中の2つは....チンパンジーとパンダ!?それ、タイにも海軍にも海にも全く関係ないじゃん。パンダとか中国の山奥だし。
アメージング!タイランド海軍..

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ウサギと魚雷が同時に見られる軍事博物館なんて世界中探してもタイ海軍博物館位のものだろう。
ペット?食用?
あっという間に増えるぞ〜というのを見越してか、結構広い敷地を柵で囲っている。

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タイ海軍博物館の展示。大砲は銘板によるとSir W.G. Armstrong Mitchell & Co. Limited製。その後方は掃海具のパラベーン。手前の犬は....野良犬と思われる。毛並みは結構いい。ひんやりとしたタイルの床は気持ちいいのだろう。サバーイだワン!

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課外授業でタイ海軍博物館を訪問している学童たち。バス数台で乗り付けていた。
「魚雷は何で動いているか判るかな〜」「どうやったら魚雷から逃げられるのかわかる人は?」「フランスに領土取られないようにするにはどうしたらよかったのかな?(しょうもない事を...)」とかやってるんだろうか。
日本だったら、日教組が見たら卒倒、左翼プロ市民の親から抗議必至の光景だけど、アメリカは勿論イギリスやフランス、オーストラリアでも課外授業で軍事関係の博物館に子供たちが団体で訪問しているのを見たことがある。
だから、小さい頃から軍事兵器に慣れ親しませるというのはある意味グローバルスタンダードなんだろう。
タイの場合男子には徴兵制もあるし(ただしくじ引き。ニューハーフは免除)。


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プラチュラチョームクラオ要塞で保存展示されているHTMSメークロンには売店が設けられており、チープな海軍グッズに混ざって何故かマリオ、キティ、といったキャラのマスコットが売られている。版権は....多分海賊版。


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プラチュラチョームクラオ要塞横の屋外兵器展示場にて、エリコン20mm機関砲。製造番号と共にGM CORPの刻印があるので、ジェネラルモーターズのポンティアック部門が第二次世界大戦中にライセンス生産したものだろう。
犬コロはちょっと困り気味。
ちなみにこの場所、犬の他に猿も多いがお互い干渉せず上手く生活している。君たち、犬猿の仲じゃなかったのか?
13 32 21 N 100 34 58 E

【タイ海軍航空博物館の屋外展示機】

マンハッタン反乱で航空機を空軍に没収されて以降、近代のタイ海軍で使用し退役した機体が屋外展示されている。

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めずらしい複座型のホーカーシドレー TAV-8S マタドール 3101号機 Bu.159563
第301飛行隊所属。同飛行隊はマタドールの退役に併い解散した。
単座型はこの敷地には展示されていない。
タイ海軍はAV-8S×7機、複座のTAV-8S×2機をスペインから1996年に中古で購入したが稼働率が悪く、だましだまし運用していたが2006年には全て退役。
タイ海軍は初代ハリヤー系を最後に運用した軍である。

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後ろから見たところ。テールブームが単座型に比べ延長されている。

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数を揃えればいいってもんじゃ...いいんでないの?
ヴォート A-7 コルセアU は3機が展示されている。
タイ海軍は1995年から1997年にかけて、沿岸警備用にA-7Eを14機、複座型TA-7C/TA-7Eを4機 (他に部品取り用に+3機) 導入。
いずれも元米海軍所属。デビスモンサン空軍基地に隣接する退役飛行機保存施設AMARCから現役復帰したもの。
ウタパオ基地の第104飛行隊で運用していたが、早くも2002年頃から用廃になる機が発生し、2007年には全て退役。
写真手前は元米海軍 Bu.No 160545 タイ海軍1406号機

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複座のTA-7C 元米海軍 Bu.No 156779 タイ海軍1416号機
奥は単座のA-7E 元米海軍 Bu.No 160859 タイ海軍1403号機

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グラマン S-2F トラッカー対潜哨戒機 1103号機 Bu.No 136430 元、第101飛行隊所属。
タイ海軍ではS-2F 11機と、汎用型US-2C型を1機使用していた。1966年から導入し、1990年代には引退。

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本来艦載機なので丈夫なフックを備えている。
尾部からMADブームを伸ばすことが出来る。
エンジンナセル後方にソノブイが左右各8本収納される。 爆弾槽は胴体左側にオフセットされている。
海上自衛隊でも使っていたので鹿屋や徳島で保存展示されているが、タイ海軍の展示機はロケットランチャーが付いていたり爆弾槽を開けていたりと高ポイント。

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沿岸警備と輸送用に導入した、P-3オライオン。
展示されているのは 第102飛行隊所属のVP-3T 型 1206号 Bu.No 152184
本機はAMARCから復活しUP-3Tとして1995年に納入、座席を追加してVP-3Tに改造したが2014年に最後の飛行をした。
VP-3Tは本機のみ。他にタイ海軍ではP-3Tを2機所有しているが両機とも現在は事実上引退している。更に部品取り用にP-3A 2機を持っている。

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機内の様子。人員輸送用に椅子が設置されている。民間旅客機の貧乏人クラス仕様。一番前2席だけは肘掛固定で広いプチブルジョアクラス用だが革張りではなく布張り。型式VP-3Tの頭のVはVIPのはずだがこれじゃな....

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退役後3年程しか経過しておらず、常時公開されている訳ではないので程度の良い操縦席。
一番左にあるハンドルは?同じロッキードのC-130に見られる地上でのステアリングかと思ったが、ノブが無いので操作しにくそう。ラダーのトリム?左側のみにある。

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コックピット上の脱出口。

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ベル 214ST ヘリ 2305号機。
タイは同型機を新品で1986年に購入、海軍で5機使用(陸軍でも4機使用)。海軍では第203飛行隊が運用。

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タイの海軍が運用していたが、これはR4Dではなく、元米陸軍航空隊/米空軍のC-47 44-76418。 タイ海軍 2102号機
第201飛行隊の所属。本機は米軍から南ベトナム空軍に渡ったが、サイゴン陥落前に米軍に戻り、後にタイ海軍に来たもの。
タイ海軍ではC-47系を9機使ったと思われ、いずれも元米陸軍航空隊/米空軍の機体だが、全機が南ベトナム空軍、クメール空軍、王立ラオス空軍を経由しているという数奇な運命。

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STOLの輸送機、GAF N24A ノマド。第201飛行隊の所属、2109号機 (メーカー製造番号N-24A129)。
民間型をそのまま使っている模様。
本機種はオーストラリアで設計生産された機体で1971年〜1984年に計170機が製造されたという比較的珍しい機体。
タイ海軍(5機 2105〜2109)及びタイ空軍(N22B型 22機)でも使用し、最近(2016年〜?)、元空軍の1機がタイ空軍博物館の展示に加わった。
日本でも離島便に2機(JA8834 長崎航空、JA8827 長崎航空/新中央航空)が使われていた。
ちなみにノマド(Nomad)は本来遊牧民の意味だが、最近はオフィス以外の場所で仕事をする人を指す。
私も会社の事務所以外の場所で仕事をする時間が増えた。時間を有意義に使っているのか、時間に追われているのかよくわからない...とりあえず飛行機の中では仕事をしないように心がけているのだが。

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セスナ U-17B(左)と、セスナO-1G(右)。

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セスナO-1G バードドッグ 1302号機。タイ海軍では、第103飛行隊で連絡、観測に1968年よりA,G,F型を計8機使用。
ロケットランチャー付で、これらは白燐弾、煙幕弾を発射したものと思われる。
(ただしベトナム戦争中、米軍はこれらに留まらず攻撃用ロケット弾を発射したこともあるらしい...)
O-1はタイ陸、海、空軍合わせて200機以上が使用され、大半は米陸軍・米空軍の中古だが、陸上自衛隊に供与された後米国に返却されたものも含まれる。インドシナに駐留していた元フランス海軍のものもある。
本機は元米空軍51-16973。

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やはりタイ海軍はこうでなくっちゃ。
セスナU-17B 1308号機 第103飛行隊の手前に立つチープな出来のパイロット君。
タイ名物「地獄寺」のコンクリート人形みたいだ。
グラサンは誰かの落し物なのか?
この写真は夕方撮影したのだが、朝に撮った写真では、グラサンを目にかけている。芸が細かい。
タイ海軍でU-17はA,B,C型合わせて10数機を1974年から使用した。陸軍でもB型を18機を最近まで使用していた。

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展示場に続く橋には、A-7/TA-7から外したと思しき翼が。お洒落。

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おまけ。ウタパオ空港南端のビーチ手前にある、元タイ海軍のC-47を改造した宿泊施設らしい。エアコン完備、オーシャンビュー。
機体は米陸軍/米陸軍航空隊の43-49213 (c/n 26474)で、南ベトナム空軍、王立ラオス空軍、クメール空軍を経て1975年4月タイに亡命し、後にタイ海軍で使われていた機体。ラダー付の写真がインターネットに出回っているが、2018年1月の時点では外されている。
手前にころがる増槽もナイス。これは多分A-7コルセアU用。

【ウタパオ海軍航空基地一般公開】

タイでは年に一度、一斉に基地公開する。またドンムアンに行こうかどうしようか迷ったけどウタパオに決定。
いやぁ、行ってよかった、面白かった。

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会場に向かう道には露店がびっしり。食べ物、飲み物、お菓子、おもちゃ、洋服など、地元民間人向け。外国人、ミリオタ、飛行機オタ受けするようなものは殆ど売っていなかった。
手前は塗り絵と、色づけの為の白い石膏製のフィギュア。
航空ショー行って、お父さんだけ夢中になって、ガキは「つまんねーよ」とかすぐ飽きちゃう、っていうのはグローバルスタンダードですから....

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亀はいいよ、亀は。
海にいるし、一応ウミガメ保護センターというタイ海軍の施設もあるし。セーラー服着てるから彼(彼女?)はそこのマスコットなんだろう。
でも、何でパンダが海軍の基地公開会場にいるんだよ?中国との合同演習記念か?
この後、こいつら、子供たちに囲まれて大人気だった。この日はあまり暑くなかったので(写真後ろのタイ人が皆長袖なのに注目)よかったけど、タイで屋外で着ぐるみ、って命がけでは?

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消防車と救助車の専門メーカー、ドイツ・レントナー社製の、6X6空港消防車「アヴェンジャー」(ドイツ語読みだとアフェンガーか?)
運転席が中央にある。新品で気前よく買ったのだろう。

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タイ海軍ドリルチームによるドリル。結構レベル高し。

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ライフルはアーマライト M16A2と思われる。

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ひたすらウェーブやってる。結構面白い。

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ユルすぎる航空ショー。
展示機にロープを張っていないどころか、会場とエプロン・滑走路を仕切るフェンスが一切無く、警備員も配置されておらず、どこまで行っていいかは各自の良識と自己責任に任せてあるというのがスゴい。
黄色い元DHL塗装機は、タイの貨物専用航空会社 K-Mile Air のボーイング 727-2J4 (F) 登録番号 HS-SCK

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地上展示された ロッキード P-3T オライオン 1205号。 Bu.No 152143 第102飛行隊所属。
AMARCに入った後、1995年にT型仕様に改造されてタイ海軍に売却された2機の内の1機(もう一機はBu.No 152142)
現在は事実上退役している模様。

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最前列で写真を撮りまくる飛行機オタな人々(私も)は別として、一般人が地上展示機の影の下に陣取るのは、暑気に開催される航空ショーでのグローバルスタンダード。
左端に立っているおじさんに注目。これ、宝くじを売っている人。
私もこれまでに計9カ国の国で数え切れないほど航空ショーに行きましたが、航空ショーのエプロンで宝くじを売っている(そして買っている人もいる)というのは初めて見ました。
アメージング・タイランド!(←とは言ってもドンムアンでは宝くじ売りを見かけてませんが)
タイは表向きにはギャンブル禁止で、競馬と宝くじ以外は違法とのこと。しかし皆さんギャンブル大好き。
その為か宝くじは非常に人気がある。
宝くじ売りは木の薄いケースに宝くじを並べ、お客に好きな番号を選んで買ってもらう。
お客さんもどの番号がいいのか、真剣に悩んで考えて買っている。
「この飛行機カッコいいからこれと同じ末尾1202番ちょうだい」とかやってるんだろうか。
統計とか確率とか、全く頭にないんだろうな.... 確率なんて真面目に考えたらそもそもギャンブルはしないし。

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タイ海軍のセスナ T337H-SP (O-2 スカイマスター相当) 1310号。
タイ海軍では計13機を1981年から導入し現役で使っている。

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こちらは編隊で飛行していたもう1機の1315号

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目の前で離陸、ホバリングのデモを見せてくれた第203飛行隊のシコルスキー S-76B 2311号
同型機は1996年に6機(2307〜2312)を導入して運用中。

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脚を引っ込めて挨拶し、飛び去っていった。

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デモンストレーションの為、タイ海兵隊偵察大隊のメンバーがヘリに乗り込む。

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離陸するタイ海軍 第202飛行隊所属のベル 212ASW型 2208号。
タイ海軍では8機(2206〜2212、旧式番号406)を1978年から導入し、現在は5機(?)を使用中。2209号機は2007年のアメリカ映画「戦場からの脱出」に「出演」している。
日本の海上保安庁も同型機を使っていた。米軍用UH-1Nと同等仕様の機体で、UH-1N自体はタイ陸軍が使用している。
ヘリのデモは、会場中央に駐機し、その周囲を円形に観客が取り囲み、中央からエンジンスタート、離陸する、というちょっと信じられないもの。
観客の真上を通過することになるのでかなり迫力がある。事故があったらどうするの?...などと考えてはいけないのだろう。
私も中学生の頃から航空ショーに行っているが、確かに昔の基地祭では観客の真上を通過というのは当たり前だった。
ドイツでのフレッチェ・トリコローリの墜落事故などにより欧州を中心に段々と規制が厳しくなっていった。
日本でもそれに倣う形で、また、度重なるブルーインパルスの事故などを受けて段々と観客との距離が遠くなり、展示高度も上がってしまった。
カメラとレンズの性能が向上しているので、写真を撮ることについてはそこまで致命的ではなかったが、やはり久しぶりに距離の近い航空ショーを見ると「やっぱいいな」と思うのであった。

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パスするベル212型ヘリ。
それまで単発エンジンだったベル204、205に対し、212では双発エンジンを採用した。

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タイ海軍のベル 212型ヘリ 2208号からラペリング降下を開始する、タイ海兵隊の偵察大隊々員。

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空中で停止するヘリから隊員が降下

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ラペリング降下が行われる間のヘリは回避行動ができず、ほぼ無防備になるので、別のヘリが周囲を警戒して護衛する。
この任務に当たったのが同じタイ海軍第202飛行隊所属、エアバスヘリコプター社製の、H145M / EC645T2 2213号 C/N 20057。
2016年に新品で受領した機体なのでまだ結構綺麗だ。
タイ海軍ではEC645T2を5機運用中(2213〜2217)

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機上の兵が、援護射撃の連射をする。こちらも負けじとカメラで連射したら、内1枚に火炎が映っていた。
エイのマークは第202飛行隊。
迷彩の上に型式、社名、C/Nが結構ハッキリと書かれているのは調べる手間が省けて有難い

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タイ海兵隊の特殊部隊に相当する偵察大隊の隊員。
何か強そう。
右肩にはタイ海兵隊偵察大隊のパッチ、左肩はタイ海軍旗。
銃はイスラエル製 IWI タボール X95。

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タイ海兵隊の偵察大隊々員が警戒しながら前進する。

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ゲリラを無事に制圧し、デモに参加していたスナイパーも加わり敬礼。それ、暑くないか....

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向こうも写真撮ってる....

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車両の展示は、よじ登り民間人が多くロクに写真が撮影できない。
タイ海兵隊の、おなじみハンヴィーのTOWランチャー付。

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タイ海兵隊の、キャデラック ゲージ コマンドー 4輪駆動水陸両用装甲車。

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タイ海兵隊のAAV。女子供にスゴい人気。先頭に描かれているのが海兵隊の紋章。
タイ海兵隊は海軍隷下の組織で、1個師団兵力2万名からなる。師団には3個歩兵連隊(近衛兵4個大隊を含む)、砲兵連隊、1個強襲大隊、1個偵察大隊(特殊部隊)が置かれている。

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ウクライナ製の8輪駆動水陸両用装甲輸送車、BTR-3型。

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手動操作の対空砲。ガキ共に大うけ。
これは中国北方工業公司(ノリンコ)製P793型 37mm2連装対空砲で、元々はソ連のM1939対空砲のコピーが発展したもの。

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手動操作の対空砲。ガキ共に大うけ。
これは中口径対空砲の代表、スウェーデンのボフォース40mm砲。
先端が先割れになっているが、M42ダスターの様にマズルブレーキ効果を狙ったものか?

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地上展示されているタイ海軍のフォッカーF-27-200MAR 兵員輸送機 1202号 C/N 10663
下の写真の-400Mと比べると、外観上はドアの大きさ、窓の数、ラックの有無などが異なる。

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空挺降下要員を乗せて離陸上昇する、タイ海軍のフォッカーF-27-400M 兵員輸送機 2110号 C/N 10650
タイ海軍ではF27-200MAR、-400Mを計6機採用。

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空挺降下のデモンストレーション。グレーの他、鮮やかな緑、青、タイ国旗などのカラフルなパラシュートが見られた。降下しているのは軍人さんと民間人のミックス?
写真の虹色のパラシュートは?タイだけに深い意味があるのか?考えてしまう。

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モーターパラグライダー(パラモーター)の余興。1機だけ、3輪付のものが混ざっている。
バックに駐機しているのは、H.I.S.が主親会社、タイの国際チャーター便専門、アジアアトランティックエアラインズのボーイング 767-300ER。
手前がHS-AAB、奥がHS-AAC。同航空会社はこの2機しか持っていないはずで、これが2機とも土曜日丸一日駐機しているということは、かなりヒマなのか?大丈夫か?

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空挺降下が終わった後、編隊でパスしてブレイクするドルニエ Do 228型兵員輸送機、1110号と1111号
1991年〜2004年にかけて計7機(1109〜1115)を導入し現役で使用中。
Do 228は日本でも新中央航空が運航している。

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ドルニエ Do 228は、その後、会場上空(モロに観客上空)を低空で何度もパスした。スゴい迫力。
欧米の「グローバルスタンダード」に目覚めると、このような事はやがて無くなるんだろうな....

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エンジンの排気で結構汚れている。

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タイ海軍の航空ショーだけど、空軍も顔見見せにやってくる。
朝、猫でおなじみ(かよ...)、コラート空軍基地から飛来した、第102飛行隊のF-16A ADF型。
ドンムアンでの航空ショーと掛け持ちでハシゴしているのだろうか。
滑走路は00/18とほぼ南北で、午前中は逆光になるのでロクに写真が撮れない。

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午後は同じコラートの第102飛行隊から、別の機体(F-16A ADF 10215号機)がフライバイに飛んできてくれた。今度は順光。
塗装はタイ空軍100周年記念(2012年)のものをそのまま残してある。
ADF (Air Defence Fighter) は敵爆撃機、巡航ミサイルからの防空用に、F-16A ブロック15を改造してAIM-7スパロー、AIM-120 AMRAAM 空対空ミサイルの運用能力を持たせたもの。
コックピット前、エアインテイク下に「バードスライサー」と呼ばれるIFF機器の追加アンテナが見える。
また、機首のレードム直後に敵機識別用のサーチライトが追加されているのが見える。
垂直尾翼全縁にHF無線機を収容し、飛行制御の蓄圧器を尾翼付け根に移動させた為フェアリングの出っ張りが見える。
A/B型ブロック15 計475機の内、1989年〜92年にかけて、アメリカの州空軍向けにA型246機、B型25機がADFに改造された。
結局冷戦が終わってしまい、ヨルダン、タイに安価で販売された(イタリア空軍にはリース)。

タイ空軍ではF-16Aを34機+スペア2機、F-16Bを15機導入した。(新品、シンガポール空軍の中古、米空軍の中古)
A型の内16機はADF仕様。
これらF-16A/Bの内、少なくとも1機は墜落、スペア用2機の内1機は空軍博物館に展示、もう1機はゲートガード。

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同じ機体。パイロットが地上の観客に挨拶している。「ガキ共、海軍なんかどうでもいいから空軍に入れよ。F-16乗れるぞ。上手くすればグリペンも乗れるぞ。アフターバーナーついてるぞ。音速でるぞ。」

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航空ショー会場に展示されていた、タイのスカイダイビング業者フリーフォール タイランド所有、ニュージーランドのパシフィックエアロスペース製 P-750 XSTOL (民間登録HS-FFT)
スカイダイバー17名を乗せて高度12,000フィート(3,700 m)まで上昇し、戻って着陸までを10分でこなす。
スカイダイビングに特化して2001年に初飛行した機種だが、現在は輸送、測量、農業などに販路拡大している。
これまでに100機以上生産。
2016年に北朝鮮の元山で行われた航空ショーで、中国に販売したはずの同型機が北朝鮮で使われていることが判明した。

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飛行展示の合間に離着陸する民間旅客機。
そういえばB757はエラく久しぶりに見た気がする。アメリカに駐在していた時はよく乗ったのだが。
こちらはロシアのチャーター航空会社、アズールエアのボーイング B757-231 VP-BYC
バンコクにも居るが、パタヤにはとにかくロシア人が沢山いる。食堂やレストランのメニューがタイ語、ロシア語、英語の順に書いてあったりする。

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みんな大好き、LCCのエアアジア。
私も出張に、旅行にお世話になっています。
1996年マレーシアで設立。日本からは一旦撤退してしまいましたが、復活。
写真はタイエアアジアのエアバスA320-216 HS-BBR
エアアジアはウタパオ空港(どこそれ?と言われない様にパタヤ空港の呼称を使っている。新東京国際空港と同じく詐欺だ。)からは、チェンマイ、ハットヤイ、プーケット、ウボンラチャターニ、ウドンタニの国内に毎日飛んでいる他、南寧、杭州、マカオ、クアラルンプールの国際線も週3〜4便のフライトがある(2018年1月現在)。

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もはやタイ海軍とは関係なくなってますが.... バイクの曲乗りデモの余興。
これは結構面白かった。「良いこのみんな、真似しちゃダメだぞ〜」←真似したがると思うぞ。
タイはASEANの自動車生産拠点なのだが、バイクもそれなりに作っている。(2015年にタイは240万台生産しており、これはインド1900万台、中国1700万台、インドネシア670万台、ベトナム300万台に次いで多い。この5カ国で世界の生産の9割近くを占める。日本は50万台生産)
私が学生の頃はバイクに乗る、は多くの男子の憧れで目標だったのだが、私自信はバイクにあまり興味なく、結局原付より大きいバイクには乗れる免許を持っていない。車の移動中は正直、「ライダーは邪魔」というイメージだったのだが、他にもそう思う人が多かったのか、結局日本のバイク市場は衰退してしまった。まぁこれは欧米先進国にも共通する事なのだが。

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前のめりで停止。絶妙なバランス感覚。すげ〜


【タイ海軍 航空隊と航空機 (マンハッタン反乱よりも後に導入したもの) 】
マンハッタン反乱よりも後、2018年1月現在に至るまでのタイ海軍 航空隊と所属航空機の遍歴を以下に示す。
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タイ海軍で航空機を所有運用する航空団、飛行隊のエンブレムを以下に示す。
仏塔形の冠(チェダーという)を配置した航空団のエンブレムは、機体には描かれない。
また、第3航空団隷下の第301飛行隊(解散)、第302飛行隊は機体にエンブレムを描いていない。
A-7コルセアの様に、現役時代にはエンブレムが機体に描かれていなかったが、退役後の展示機に描かれたケースもあり注意を要する。
第101飛行隊のエンブレムが、鮫を殺している所なのに対し、A-7で沿岸防衛に当たった第104飛行隊のエンブレムも同じ鮫(表情まで同じ)というのが面白いというか、何考えてるんだ、というか...
あと、この鮫、タイ空軍第7航空団第701飛行隊所属のグリペン戦闘機の尾翼に描かれているものと同じポーズ(細部は異なる)。


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王立タイ海軍 第1航空団

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王立タイ海軍 第101飛行隊        王立タイ海軍 第102飛行隊

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王立タイ海軍 第103飛行隊        王立タイ海軍 第104飛行隊



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王立タイ海軍 第2航空団

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王立タイ海軍 第201飛行隊     王立タイ海軍 第202飛行隊     王立タイ海軍 第203飛行隊



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王立タイ海軍 第3航空団

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王立タイ海軍 第301飛行隊        王立タイ海軍 第302飛行隊

1990年代前半頃から導入された4桁の登録番号には航空団、飛行隊の情報が含まれている。
1桁目が航空団の番号を示す。
1桁目+0(ゼロ)+2桁目で飛行隊の番号になる。
例えば1206は第1航空団 第102飛行隊の6番目の機体。

尾翼にはタイ海軍旗が描かれている。象が左向き、が正規の旗だが、機体に描かれる際には、必ず像が前方を向く (左右対称であり左右同一ではない)。

胴体またはテールブームに大きく描かれているタイ文字は「王立海軍」の意味。



【クロムルアンチュムポーンケートウドムサック廟】

航海の安全を祈る為なのか、海軍施設はもとより、海軍とは関係ないところでも、海や港の近くでみかける廟を紹介。
長大な海岸線を有するタイなので、多分こういった海軍廟は全国に沢山あるのだと思うのだが。
いずれも「タイ海軍の父」Abhakara Kiartivongse クロムルアンチュムポーンケートウドムサック提督(1880-1923)を纏っている。
彼はラーマ5世の77人居る子供の一人で、チュンポーン県の領王。
英国で海軍々事を学び、帰国後タイ海軍の近代化に尽力し、サタヒープの軍港を開設。
どうでもいいがタイ人の苗字は長ったらしいのが多い。
先日タイ人のお客さんを案内して日本に行ったとき、ANAの国内線で搭乗手続きが出来なかった。
何で?と調べてもらったところ、名前が長すぎてシステムで処理できないことが判明(その後手入力により無事搭乗)
長ったらしい名前、覚えられないぞ....というご心配はごもっとも。タイ人もその辺は心得ていてニックネームを付けている。
ニックネームは短くて覚えやすい。
しかし、会社で使うメールアドレスは苗字が基本でニックネームが含まれない(通常名刺にも書いていない)。
結局、ニックネームとフルネームが対照できるアドレス帳を手元においておかないと仕事にならない。

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まずは閣下のお膝元、チュンポーン県庁所在地中心部にあるクロムルアンチュムポーンケートウドムサック廟から。
早朝からお参りの人が絶えない。
10 29 51 N 99 11 20 E

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恐らくこれが一番由緒正しいクロムルアンチュムポーンケートウドムサック廟。
チュンポーン県の海岸沿いにある。
10 23 59 N 99 16 47 E
船を形取っておりイカリ、救命浮き輪など凝っている。仏塔付の白い建物の中に閣下が纏られている。

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廟の入口を水兵が守る。短身のリアル兵と、長身の漫画チックな兵の組合せは如何なものか?

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廟内の売店。閣下グッズが並べられている。買う人いるんだろうな。

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先に紹介した廟の隣にもう一つ廟がある。こんなに近くて何の意味があるのか?
10 23 56 N 99 16 46 E
廟の入り口をM16自動小銃を持って警護する兵隊さんの人形.....って、よく見たらポーチにUSって書いてある!
タイの海軍/海兵隊じゃないのか!?

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廟の内部。クロムルアンチュムポーンケートウドムサック提督の像が3体もある(一番右の像は別の人)。
小さい方の像2つには、願い事の金箔(治したい部位に貼ると治るらしい....)を貼り付けられるようになっている。

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この廟の裏手にあったご神体....なんでしょうね。
とてもご立派でうらやましい....
ちなみに「本当」はタイ語で「チンチン」と言います、チンチンナー(本当に)。
左下で水兵の人形が警備しています。

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もちろん水雷艇HTMSチュンポーンのブリッジにも纏られている。
10 23 55 N 99 16 45 E

尚、私は訪問していないが、チュンポーン県はさすがに本場だけあって、他にも
9 57 02 N 99 09 26 E (空母チャクリ ナルエベトの模型。1/2.5程度と巨大)
9 51 30 N 99 09 52 E (全長60mの船)
などがある。

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サタヒープの海軍基地敷地内にある廟の外観。
周りには機雷、二頭身警備兵、象、前装式大砲、砲弾など、カオス状態。
12 39 03 N 100 51 13 E

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廟の中にいらっしゃるクロムルアンチュムポーンケートウドムサック提督。
全身に金箔が貼られている。足元にはバーツ札のお賽銭。

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チャオプラヤ川西岸にある海軍本部の前にたたずむクロムルアンチュムポーンケートウドムサック提督。
海軍の敷地だが立派な廟は大通りに面しており誰でもお参りできる。
13 44 57 N 100 28 46 E

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サタヒープの広大な海軍基地の東隣にある公園にいらっしゃるチュンポーン閣下。
12 40 13 N 100 53 48 E

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パタヤビーチを見下ろす丘の上にあるクロムルアンチュムポーンケートウドムサック廟。
この写真では判らないが全体が船の形になっている。
タイ人の皆さんは熱心にお参りしている。
12 55 19 N 100 51 58 E

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パタヤの警察署前からビーチ方向を監視するクロムルアンチュムポーンケートウドムサック提督。
観光客の家族連れ、夜遊び目当ての外国人が行きかう中、誰も気に留めないのがちょっとかわいそう。
12 56 09 N 100 52 57 E

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バンコクの王宮近くにあるクロムルアンチュムポーンケートウドムサック廟の閣下と、閣下に敬礼する海軍兵の置き物。
婦人兵もいる。
13 45 47 N 100 30 49 E

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社員旅行で訪問したラヨーンの、小さな漁港脇にあるクロムルアンチュムポーンケートウドムサック廟。
小ぶりながら大切に、綺麗にされている。
12 37 44 N 101 29 53 E

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洋上に浮かぶチャチューンサオ県の仏教寺院、Wat Hong Thong (ホン トーン寺)の、沖に突き出したテラスに置かれているクロムルアンチュムポーンケートウドムサック廟。
二頭身の水兵さんの人形は置物を売る店先でよく見かける。
13 28 17 N 100 52 20 E
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トラート県のレームゴープにある、マーク島へ行くフェリー乗り場隣にあるチャーン島沖海戦記念の施設。
建物屋上から海戦のあった方向を見つめるのがクロムルアンチュムポーンケートウドムサック提督。
館内には艦船の模型、魚雷、砲などが展示されているが、訪問するタイ人は皆お参りに来ている。
手前のボートは、軍民向けに主に小型艦艇を製作する米国の造船会社、スウィストシップスがタイ海軍向けに作った警備艇で、排水量23t、全長50フィート。
1968年から76年にかけて、T21〜T29の9隻が納入された。
12 10 43 N 102 23 20 E

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チャオプラヤ川河口近くの中洲にあるピースアサムート要塞内に設置された簡単な廟。
簡易祭壇みたい。雨が降ったら慌てて片付けるのだろうか。
13 35 43 N 100 35 17 E

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海軍博物館の一室に設けられた廟。
この部屋には、クロムルアンチュムポーンケートウドムサック提督ゆかりの品や、提督自ら英国より購入しタイまで航海してきたHTMSプラ ルアンから外した備品類が展示されている。

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この一室に展示されている、クロムルアンチュムポーンケートウドムサック提督のトレードマークである二角帽子。

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クラビのフェリーターミナル横にあるクロムルアンチュムポーンケートウドムサック廟(左端)。
右端はA-7E コルセア 1414号機 Bu.No. 158833
8 02 47 N 98 54 28 E

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ランタ島東海岸・旧市街の港前にあるクロムルアンチュムポーンケートウドムサック廟。
7 31 52 N 99 05 40 E
この港から島巡りのツアーに出港したのだが、途中で船のエンジンが故障するという事態に。ご利益無ぇ.....
まぁでもその後無事に復活したのでやっぱりチュムポーン様のお陰なんだろうか。

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バンコクの西にある、かなり大規模なクロムルアンチュムポーンケートウドムサック廟。
船体はコンクリート製。全長80m、全幅17m
大砲は実物大だが木製のハリボッテ。
海からは12km程内陸にある。
13 36 21 N 100 26 04 E




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